ワークショップ つながる応援ばんこっき
日本子ども虐待防止学会 かがわ大会を彩るおもてなしの“旗”
日本子ども虐待防止学会第30回学術集会かがわ大会が11月30日、12月1日に高松市内で開催されました。
今大会の関連アートプログラムとして、私たちは旗づくりのワークショップを企画しました。ワークショップ参加者用チラシ
このワークショップは大会に先立って4か月にわたり、各所で23回開催され、延べ350人が参加してくださいました。
一人ひとりの心を映した旗は大会会場に飾られ、来場者を“おもてなし”しました。
会場の様子
大会当日はワークショップで作られた約400枚のばんこっきを会場に飾り、参加される方々をお迎えしました。学会のテーマカラーであるオレンジを基調とした「様々な光」と香川を代表する詩人塔和子氏の「生きた言葉」は無機質になりがちな空間を有機的に彩ってくれました。
大会1日目には当事者ユースWG「みんなの声聴かせてワーク」に参加された方々にもワ ークショップを体験いただき、その制作の過程で切実な「声」を聴かせていただきました 。その表現からは、当事者の声が届きにくい「学会」という「場」そのものの在り方が問わ れ、また、社会が抱える見えづらい課題に気づかされました。結果的に虐待という闇の深さを感じることによって、光を届けようとすることの意義、学会の必要性について再認識する機会となりました。
「ばんこっき」のアートワークショップは大会ポスターでも表現されている「子どもも 大人もお互いに旗を振り、応援し合う社会の実現」「虐待防止を自分ごとに」という想い を、象徴的に表現したものです。大会が一過性のイベント(点)で終わらないように、大 会事務局である四国こどもとおとなの医療センターで、10年間実践してきたホスピタル アートの「これまで」を知っていただき、アートと医療が専門性の枠を超えてつながり、 補い合って共に同じ光を目指すことで見えてくる「これから」のケアの可能性を伝えようとしました。また、本大会を出発点として未来へと続く新しい流れやつながりが生まれることを願いました。
参加者からは「自分の光を表現しようとしたら、心の中にある弱さや醜さも一緒に見えてきた」「自分だけでは光れない」「自分も気づかないうちに虐待していたかもしれない 」「塔和子さんの言葉が自分の内側にある言葉にならない感情を引き出してくれた」など 、様々な感想を頂きました。「ばんこっき」を作る過程でそれぞれが自分の内側にある闇 や、弱さと向き合い、そこに差し込む光を探し、虐待防止について考える時間を持ってくださったのだと感じました。
大会終了後、多くの方から「会場がおもてなしの空気で包まれていて優しい気持ちになった」「一つ一つに想いがこもっている」「プロラムも素晴らしかったけれどスタッフの丁寧な対応が素晴らしい」など嬉しいお言葉をかけていただきました。
「希望」とは「痛み」からかけ離れたところにあるのではなく、より良くなろうとする切 実な表現(創意工夫)によって「痛み」が変容したものであると私は思います。この学会 は虐待という社会の「痛み」を勇敢に見つめようとしてきた先人が、創意工夫と協働によ ってつないできた「希望」であると感じています。このささやかなアートプロジェクトが 1人でも多くの人に虐待を自分ごととして捉えていただくきっかけとなり、虐待防止の輪を広げていく一助となれましたら幸いです。
ディレクター
森合音
ワークショップ
制作・協力
ファシリテーター:井上由季子
講師:山地 千晶
ワークショップ参加者(約350名)
動画制作
Rhinos Company
チラシ,
ポスターデザイン
誘市 しのぶ