童謡「シャボン⽟」は、幼くして亡くなった我が⼦を想う作者によって書かれた詩だと⾔われています。
芸術は痛みや⽣きづらさの中から、切実な表現として⽣まれてきます。「シャボン⽟」が、⼈の⼼に寄り添い、時代を超えて⼈々の慰めになってきたのは、その歌の背景にある最愛の⼦を失った哀しみ、⼦の幸せを願う親の愛、それら⾏き場のない思いが⼊り混ざった、やむに⽌まれぬ「祈り」だったからではないでしょうか。
表紙は、CDR研究チームと⼤切な⼈を失ったことのある当事者が、アートのワークショップを通じて描いたものです。それぞれが好きな⾊の絵具を混ぜた⽯鹸液を作り、祈りを込めて息を吹き込みました。画⽤紙の上でシャボン⽟は、重なり、溶け合ってすぐに消えてしまいますが、その痕跡は、確かに存在した証として、作意を超えた美しい模様となって現れます。
CDRもこどもの死、つまり「こどもの⽣の痕跡」から⽬を逸らさず、検証することで、声なき声を聴き、この痛みがいつか「未来のこどもの幸せ(希望)」へと変わると信じて研究されているものです。全てのこどもたちにとって未来が優しく、美しいものでありますように。