耳原総合病院
希望のともしびの物語
風景のその先へ
2015年の新築時、「希望のともしび」をテーマに多数のアートを導入させていただいた耳原総合病院。
アートのある空間は、ない空間にも思いをめぐらせました。
2017年春、そんな職員さん達のまなざしが、真っ白な空間にアートを完成させました。
アーツプロジェクトからは、たくさんのボランティアさんも参加。遠方、泊りがけで来てくださった方、貴重な休日を病院の制作にさいて何時間も絵を描くは、患者さんやご家族、病院で働く人たちへの励ましになりました。
見守りの樹
手術室前通路
手術室に向う通路の壁面は白く無機質、そしてその場所で待つ椅子の正面には管理室スタッフが在中していて視線が合う事も気にされていました。
そんな通路を窓部分も含め大胆な13メートルに及ぶ壁画を制作しました。
森と湖畔をイメージしつつ自然な光も表現し患者さんに希望を感じて貰えるように・・。
大きな樹木をベースに鳥、湖畔、自然に映り込む光、よく見ると恐竜の卵から赤ちゃん恐竜が生まれていたりユーモアもさり気なく表現されています。
大きな樹木には季節毎に変わるレリーフをスタッフそして患者さんがワークショップで制作し、蝶々、葉っぱ、栗、雪の結晶が季節の移り変わりを感じ
つつみんなの想いをメッセージとしてこの通路を通る方々に勇気と希望を与えるアートになっています。
いろいろな葉が茂る木
精神科の待合室は青、緑をベース色にコーナーに生い茂る木を描きました。一本の樹に繁茂する、いろいろな形の葉っぱたち。季節を知らせる絵も配置しています。
カウンセリングと診察のための3室には、それぞれに連作の作品を掛け、患者さんの気持ちが落ち着くインテリア空間を演出。
希望(ひかり)の空
ICU内部・患者家族待合室・家族説明室
病院内でもひときわ緊張感のあるICU(集中治療室)空間。
「アートがないことの疑問」を師長は本当に素朴に投げかけてくれました。私たちの日常生活は、様々な思い出が込められたお気に入りのものや、琴線に触れた装飾たちに囲まれているのに、ICUの清潔で真っ白な空間には、そんな思い入れのある風景が不在していました。
皆で考え描かれたのは、空と丘の風景。
患者さんのご家族の視線の先には、リラックスを促すハーブ。窓からは希望の虹、鳥、そして患者さんが帰る家を表現しました。
季節を知らせるひめくりカレンダー
回復期リハビリ病棟
季節のイメージは、作業療法士が数年に渡ってリハビリ外来で展示し続けてきた手作りの飾り物を写真にしました。入院中の患者さんが、リハビリ外来に移っても、またその逆であっても、見慣れた心のこもった作品がホッとする空間をつくっています。
HPH 職員階段
職員の方の健康増進を図り、階段利用率を上げる為のデザインを施しました。アンケート結果を元にメッセージを公募し、階段蹴上(けあげ)面に展開。踊り場の壁面にはひざ痛予防のためのストレッチシルエットを施し無機質だった階段に元気な色が入りました。音楽放送も取り入れられ、気分転換と健康増進を促しています。
ディレクター
室野愛子
デザイン
馬場千愛
制作
耳原総合病院職員 患者さん
アーツプロジェクトボランティアの皆さん