四国こどもとおとなの医療センター
検査科に必要なアートとは?
検査科待ち合いに患者さんの不安を和らげるアートを
このプロジェクトは検査科技師長さんより「患者さんの不安を軽減してくれるようなアートを。」との要望からスタートしました。
まず、現場の技師さん達に集まっていただいて[検査科待ち合い]に来られる患者さんの様子についてうかがいました。
「検査の結果がどうなのか、 これからどんな治療が始まるのか漠然と不安な感じですね。」
「採血なんかはこどもでもおとなでも第一 の関門というか、極度に緊張される方もいます。」
次にどんなアートがあればいいと思うか質問しました。
すると「このエリアですぐに検査結果や治療方針が決定する訳ではありません。まだ、悪い結果が出たわけではないのだからできるだけリラックスしてもらいたいですね。」
「気持ちをそらす。というか、必要なのは癒しよりも不安を忘れるインパクトかな。と思います。」
「物語になっていると待ち時間にそれを追いかけられますね」
「検査科らしいものがいいです。 精密画とか。」 とさまざまな意見を頂くことが出来ました。
視察した現場カウンターにはワイヤー細工の花瓶に入った葉っぱとピエロの人形がそっと置かれていました。
それは技師さん達が患者さんを想うこころのかたち。
“アートの種”です。
ヒアリンク内容を元に高松市立美術館の学芸員さんに相談し、若手の画家さんを数人紹介していただきました。そして高松明日香さんにお願いするこにしました。高松さんには直接現場の方とも対話してもらい、当院のアートの考え方もお伝えした上で壁画を提案していただきました。
彼女が選んだのは 「スタ ンドバイミー」 という洋画のいくつかのシーンでした。
検査科の願いに画家の感性がブレンドされ患者さんの意識を小さな旅に誘ってくれることでしょう。
そして壁画は静かに伝え続けてくれるのです。
「大丈夫、いつも傍にいるよ。」と
プロジェクトを終えて
これまでのいろいろな経験を経て、気がつくと絵なんて世の中には必要ないものだと勝手に決めつけている自分がいました。
けれどこのような機会をいただいて、私が培ってきた技術が公共のために役に立つときが来たことに衝撃を受け、胸が熱くなました。この壁画に詰まっているすべての筆触は、検査科を訪れるみなさまに見ていただきたくてここにあります。
制作を通して、私の絵心はずいぶんと前向きになりました。
高松明日香/壁画デザイン・制作
ディレクター
森合音
デザイン・制作
壁画:高松明日香
ワイヤーアート:奥田由味子