西部島根医療福祉センター
– Picnic – 佐々木恵未さんの世界へ
今は亡き、江津市を代表する画家佐々木恵未さんの絵画からは「それでいいんだよ。」という肯定感、「一緒に楽しもうよ。」という期待感があふれています。日頃から「みんな」「大好き」という言葉をよくつかっていた佐々木さん、その想いを壁画にのせて伝えます。
佐々木さんの愛した江津の町、人、四季折々の自然、そのエネルギーを、不自由を抱えながらも今を生きる利用者さんたちへのエールとして「みんな」で描くアートプロジェクトです。
地域の人に愛され続けている画家佐々木恵未さんの世界へ
2015 年 10月、食堂の改築計画が進む中、「入所者さんに明るい雰囲気の中で食事してもらいたい。壁面にアートを取り入れてはどうだろうか。」という中寺院長の言葉からこのプロジェクトがスタートしました。
その後半年に渡って、スタッフミーティング、全スタッフ対象のアンケート調査など、院長の想いやスタッフの想いをかたちにしてゆくためのヒアリングにじっくりと時間をかけて進めました。
「江津市を代表する画家佐々木恵未さんの絵画を取り入れて欲しい。」
「季節の変化が感じられる壁画を描いて欲しい。」
「普段外に出ることが少ない入所者さんにピクニック気分を味わってもらいたい。」
「壁画制作に参加したい。」などスタッフの方から様々な声が寄せられました。
そこで今は亡き佐々木さんの絵画を壁面で表現する。という方向性を決定しました。
しかし、直接描いていただくことはできません。では、どのように佐々木さんの描いた絵を活かすのかという点について、効果的な方法を考えつつ、四季の変化やピクニックの要素も取り入れながら、ワークショップ形式(職員、入所者参加型)の企画を組み立ててゆきました。
皆で創る、時空を超えた風景
最終的に「今ここにある現実の世界から佐々木さんの絵画世界へ皆でピクニックに行こう!」というコンセプトが決定しました。
壁面全体に現在の江津市の風景を描き、壁面の中央には大きな窓、その窓から佐々木さんの世界を覗いてみよう!という趣向です。窓の風景は季節ごとに貼り変えられるようにし、四季の変化を感じていただくことが出来ます。そして佐々木さんの絵に描かれている花や葉っぱの一部を抜き出し、皆でマグネットプレートに描いてベースとなる江津市の風景の上に散らすことにしました。そうすることで佐々木さんの絵の中の世界から飛び出したものたちが外の世界につながる道を作ってくれます。その作業には食堂の関係職員を中心に多くの職員さんにご協力いただくことにしました。
「皆で創る」という感覚を共有するためです。ベースとなる現在の江津市の風景を描いたのは島根県出身のイラストレーター引野裕詞さんです。彼は、色使いが佐々木さんのそれと似ている。と言われたこともあるそうで、喜んで協力してくれました。佐々木恵未さんの死後、著作権を保有している本藤久朋さんも、企画を喜んでくださり、あらゆる面でご協力いただきました。佐々木さんの絵画と引野さんのイラストレーション、中寺院長と職員の想いが織りなす時空を超えた楽しいコラボレーション作品です。
ディレクター
森合音
デザイン
佐々木恵未/画家
引野裕詞/イラストレーター
制作協力
ワークショップ参加者
職員・利用者 約50名
アーツプロジェクトボランティア